福音宣教の礎・使徒パウロとはどのような人物か?〜地中海を駆け巡った3度の伝道旅行〜

エッセイ

【恵みのしずく 第18話】

いつも「恵みのしずく」を訪れてくださり、心から感謝いたします。皆様とお会いできたこのご縁を、神様に栄光をお捧げいたします。

聖書は、旧約聖書39巻・新約聖書27巻の合わせて「全66巻」から成り立っています。その新約聖書の中で、初期キリスト教の福音を異邦人の世界へ力強く伝えた中心人物が使徒パウロ(Paul)です。彼の歩みは、使徒の働き(使徒言行録)と、彼が書き残した13通の手紙(パウロ書簡)に克明に記されています。

今回は、命をかけて広大な地中海世界を巡り歩いたパウロの生涯と宣教の足跡を皆様にご紹介いたします。

1. 回心以前とダマスコ途上での劇的な回心

  • 生まれと背景パウロ(当時の名:サウロ)はキリキア州のタルソ出身で、生まれながらのローマ市民権を持ち、当時最高の律法学者ガマリエルのもとで厳格な教育を受けた熱心なパリサイ人でした。
  • クリスチャンの迫害当初は教会を激しく敵視し、ステパノの殉教に賛同したほか、エルサレムや周辺都市の信徒たちを捕らえる先頭に立っていました。
  • 劇的な回心(使徒の働き 9章)信徒を捕らえるためダマスコへ向かう途中、天からの強い光と復活のイエス様の御声を体験します。一時的に視力を失いますが、アナニアの祈りによって目を開かれ、洗礼を受けてキリストの使徒へと完全に生まれ変わりました。

2. 地中海世界を巡る3次にわたる伝道旅行

AD 46年頃から、パウロは想像を絶する広大な範囲を3回にわたって旅し、福音の種を蒔き続けました。

■ 第1次伝道旅行(AD 46〜48年頃 / 使徒 13〜14章)

  • 同行者: バルナバ、マルコと呼ばれるヨハネ(途中で離脱)
  • 主な経路: シリアのアンティオキア → キプロス島 → ピシディアのアンティオキア → イコニオム → ルステラ → デルベ → アンティオキア帰還
  • 主な出来事: キプロスで総督セルギオ・パウロに伝道。ルステラで足の不自由な人を癒やしてゼウスやヘルメスと誤解され、その後に扇動された群衆から石打ちに遭うも奇跡的に立ち上がりました。
  • エルサレム会議(AD 49年頃 / 使徒 15章): 異邦人信徒に割礼や律法の遵守を義務付けないことが正式に決議されました。

■ 第2次伝道旅行(AD 50〜52年頃 / 使徒 15〜18章)

  • 同行者: シラス、テモテ、ルカ
  • 主な経路: アンティオキア → 小アジア内陸 → トロアス → フィリピ → テサロニケ → ベレア → アテネ → コリント → エペソ → アンティオキア
  • 主な出来事: トロアスで「マケドニア人の幻」を見てヨーロッパ宣教へと舵を切る。フィリピの牢獄での看守の回心、アテネのアレオパゴスでの説教、コリントでの1年6か月にわたる天幕作りと宣教(アクラ・プリスキラ夫妻との出会い)。

■ 第3次伝道旅行(AD 53〜57年頃 / 使徒 18〜21章)

  • 同行者: テモテ、テトスなど
  • 主な経路: ガラテヤ・フリギア地域 → エペソ → マケドニア → ギリシャ(コリント) → ミレト → ツロ → カイサリア → エルサレム
  • 主な出来事: エペソのツラノの講堂で約3年間の講義。銀細工師デメテリオによる騒動。トロアスで夜を徹した説教中に窓から落ちて亡くなったユテコを生き返らせる。ミレトでのエペソ教会の長老たちとの涙の告別。

3. 逮捕、ローマ護送、そして殉教

  • エルサレムでの逮捕と拘留(AD 57〜59年頃): 神殿で暴徒に襲われローマ軍に逮捕され、カイサリアで2年間拘留されます。ローマ皇帝への上訴権を行使しました。
  • ローマへの航海(使徒 27〜28章): 嵐(エウラクロ)による漂流の末マルタ島に漂着し、毒蛇に咬まれても無事でした。
  • 第1次ローマ軟禁(AD 60〜62年頃): 借り家で軟禁されながらも訪れる人々に大胆に福音を伝え、獄中書簡(エペソ、フィリピ、コロサイ、ピレモン)を執筆しました。
  • 釈放と再逮捕、殉教(AD 64〜67年頃): 一時釈放されクレタやイスパニア(スペイン方面)を訪問したと伝えられますが、ネロ皇帝の迫害期に再逮捕され、最後の手紙「テモテへの手紙第二」を残してローマで殉教(斬首刑)を遂げました。

(結び)現代に生きる宣教者たちへ寄せる思い

パウロが生きた時代から約2000年が経った今も、世界各地でパウロのような熱い志を持った宣教者(宣教師)の方々が数多く働いておられます。

日本の街頭で熱心に路傍伝道をする方、賛美歌を歌いながら福音を届ける方々の姿も見られます。日本のクリスチャン人口は約0.88%と言われていますが、国内外で生活や奉仕を通じて愛と福音を伝え続けている尊い働き人たちがおられます。

私の切なる願いと夢は、神様の恵みの中で、こうした宣教者の方々をお支えし、お役に立てる存在となることです。

広大な地中海を駆け巡り、あらゆる困難を乗り越えて福音を伝えたパウロの生涯が、皆様の信仰と歩みの豊かな励ましとなりますように。

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